QVC

顧客行動やロジスティックなどの莫大なデータをスピーディに可視化し、BI 活用を推進


業務に直結したデータの見える化に成功

データを直感的にビジネスに活用可能

株式会社 QVC ジャパンは、テレビショッピングを主体とした通信販売業界で世界有数のリーディングカンパニーである、米 QVC, Inc の日本法人です。QVC は米国本社と日本の他、ドイツ、イギリス、イタリア、フランス、中国でテレビショッピングを展開。世界 3 億以上の世帯に向けて番組を放送しています。日本国内でも「スカパー!」や「ひかり TV」、「J:COM」、「BS11」、「BS 日テレ」、「BS12 TwellV」などで番組を配信する他、全国各地のケーブルテレビ局も積極的に開拓。2018 年 12 月 1日より、BS4K の 12 チャンネル(4K QVC)でピュア4KHDR 放送を開始した。日本の隅々まで放送網を張り巡らせることで、多くの顧客のニーズに応えています。

「お客様に喜んでいただくには、お客様のプロファイルや購買行動、お客様の声などのデータを分析し、お客様を理解することが必要です」と語るのは、QVC ジャパン ファイナンス&ストラテジー コンシューマーインサイト&アナリティクスでアナリストを務める牧野 翠氏。そのため、顧客データなどを様々な観点からまとめた、分析レポートを作成しています。

Tableau: Tableau 導入前の課題について教えてください。
牧野氏: 以前は、20 ページのマンスリー分析レポートを社内 DWH から SAS でデータ抽出し、Excel シート化、さらにPowerPoint でまとめていました。これを毎回 1~2 日、アナリストがかかりきりになって作成していました。しかしこのような方法ではデータ活用までに時間がかかるため、スピーディな意思決定が困難です。常に新しい価値を創造し、24 時間いつでもお客様に最高のお買い物体験をお届けするには、社内データを速く正確に可視化できる仕組みが必要だと考えていました。

Tableau: Tableau でどのような取り組みを進めているのか教えてください。
牧野氏: スピーディな意思決定という課題を解決するために活用されているのが Tableauです。本格的な活用が始まったのは2017 年 8 月。まずは Tableau Desktop を 3 ライセンス使用し、定例レポートを Tableau へと移行する取り組みが行われました。その後、顧客分析、商品分析、コールセンター、ロジスティック、マーケティング分析、編成データ分析などへと用途を拡大し、お客様満足度の向上やビジネスの効率化に取り組んでいます。当初はアナリストを中心に活用を進め、Tableau の使い方を確立。2018 年 4 月からはアナリスト以外にもユーザーを拡大していきました。そのために Tableau 活用促進リーダーを立て、データ分析初心者向けの社内研修も開催しました。

Tableau Desktop のライセンスも追加し、現在ではアナリティクス部門、ファイナンス 部門、マーケティング部門、マーチャンダイジング部門などで、計 21 ライセンスが利用されています。

Tableau: 今回のプロジェクトで Tableau を選定した理由を教えてください。
牧野氏: データ分析や可視化のツールとして Tableau を選んだ理由は、大きく4 点ありました。第 1 はエクセルとパワーポイントの作業をひとつのツールで行えること。第 2 はマネージメントのレポートシステムが老朽化し、将来的に Tableau をレポートシステムとして使えると考えたこと。第 3 はユーザーフレンドリーであり、アナリストでないユーザーでも手軽にデータ分析できること。第 4 はビジュアルの美しさ。Tableau の表示は完璧で、他のどのツールにも負けないと思います。

分析結果を Excel や PowerPoint でまとめていた頃はケアレスミスが発生しやすかったのですが、Tableau に移行してからはこのような問題が解消されました。データ更新を行うだけで、最新の分析結果を正確に提供できます

Tableau: Tableau の導入効果を教えてください。
牧野氏: Tableau の導入は、以下のような効果をもたらしています。1 つ目は、警告サインの早期発見が可能になりました。以前は時間がかかっていたレポート作成が Tableau 導入後は、「更新」ボタンをクリックするだけで、瞬時に作成が完了します。作成作業の手間がかからなくなった結果、警告サインの早期発見ができるようになりました。数値の異常を発見した時は深堀分析を行い、原因を瞬時に明らかにし、より優れた意思決定へと繋げています。またTableau は強力なフィルタリング機能を装備しており、閲覧者がこれを利用することで自由にビューを変更できるため、レポートのページ数も半分程度に削減され、レポート参照者にとっても効率的に現状が把握できるようになりました。

2 つ目は、業務の専門化による業務に直結したデータの見える化に成功したことです。Tableau は、BI 活用を行いたいアナリスト以外の社員にとっても手軽に使える分析ツールだと思います。例えばファイナンス部門では、ファイナンスの専門家自らが、Excel のレポートを Tableau に置き換えることで、データ集計に費やされる時間を8 割近く削減しています。以前はアナリストが SQLで抽出したプログラムを実行し、Excel でレポートを作っていましたが、Tableau 化するにあたり、業務を熟知したファイナンスの専門化たちが DWH のデータを理解し、レポート設計を行っていることから、業務に直結したレポート作成に繋がり、アナリストが間に入って作成するレポートよりも価値のあるレポート作成を可能にしています。

3 つ目は、データを直感的にビジネスに活用することが可能になりました。Tableau の美しいダッシュボードはデータを直感的に理解できるため、ビジネスにも素早く活かせるようになっています。システム開発のような大掛かりなステップを踏まずに、タイムリーで美しい定例レポートが作成できることも Tableau の優れたところだと思います。例えば、顧客行動がひと目でわかるようになり、お客様のことをより深く理解できるようになりました。キャンペーンを行う場合、その結果を日次で分析し、翌日には次の手を打つ、といったことも可能になりました。また顧客アンケートの結果を Tableau で分析するようになってからは、顧客満足度の変化や問題点も感覚的にわかるようになっています。

Tableau: 今後の展開について教えてください。
牧野氏: 今後は Tableau Server を導入し、データ更新の完全自動化を目指しています。データ分析のように意思決定につながる業務では、正確さと速さが不可欠です。データ更新の完全自動化が実現されれば、より的確な意思決定を、短時間で下すことが可能になります。お客様行動などをリアルタイムで可視化できれば、お客様に満足していただける商品やサービスの提供もよりスピーディに行えるようになります。最終的には、データの力を最大限に発揮できる Tableau のアウトプットを、経営判断に直結できる仕組みを確立していきたいと考えています。

何よりも私達の強みは、 24 時間のテレビショッピングのデータが豊富に揃っていることです。これはデータ活用をする上でとても恵まれた環境であり、まだまだ高度なデータ活用が可能です。お客様一人ひとりに心から喜んでいただけるサービスをデータから導き出して、提供するために Tableau 活用を開拓し、チャレンジし続けたいと思います。